最近では、日経平均株価がバブル後最高値を更新する絶好調な日本株式市場の影響で、テレビでもFIRE特集が組まれるなど、定年まで正社員で働かないライフスタイルに注目が集まっています。
ただ、そういったライフスタイルにも様々な形態がありますが、一般的にはそれらの違いが曖昧になっている点も、そういった特集から感じ取れます。
そこで今回は、FIRE、セミリタイア、アーリーリタイアの違いについて解説しようと思います。
FIERとは?
FIRE(ファイア)とは、「Financial Independence(経済的自立), Retire Early(早期退職)」の頭文字をとった言葉で、欧米の若者を中心に広がっている「早期に仕事を辞めて悠々自適に暮らすライフスタイル」を言います。
経済的自立とは?
FIREの最初の2文字が表す「Financial Independence(経済的自立)」とはどういう意味でしょうか?
これは「生活するためのお金を労働収入に頼らない状態」になることを指します。
経済的自立を得るための手段は?
では、この経済的自立、仕事をしないでも生活できる夢みたいな状況をどうやって実現すればいいでしょうか?
そのためには、大きく分類すると2つの方法があります。
一つは投資による継続的インカムゲインです。つまり株式投資や不動産投資によって、配当金や家賃収入を得るという方法です。
もう一つは、ビジネスによる継続的収入です。自らが労働者ではなく経営者として、ビジネスを起こすことで利益を享受し続けるという方法です。
経済的自立した上で早期退職する
FIREの後半の2文字の「RE(早期退職)」は経済的自立を確立した状態であれば、いつでも達成することが出来ます。
定年を待たずして「早期退職し、自分の好きな事、好きな場所を自由に選ぶことで人生を充実させる」のがFIREというライフスタイルの目的です。
アーリーリタイアと共通する
また、FIREは別の言い方をすれば、アーリーリタイアに共通する言葉と言えるでしょう。
アーリーリタイア自体は早期退職という意味だけですが、それを実現するためにはFIREと同様に「経済的自立」は必須です。
FIREするために必要な資金
では、FIREするために必要な条件はどんなものでしょうか?
投資でFIREするのであれば、配当金や家賃収入などを生活するのに十分な額にする必要があります。
FIREに必要な資金は5000万円以上
家族構成や年齢、個々の生活水準にもよりますが、FIREをするためには最低でも5000万円ほどの資金が必要になるでしょう。
これを株式投資で運用するとすれば、比較的高配当な株に分散投資するとして年間利回り5%で250万円の配当収入になります。
日本ではこの配当収入には約20%の税金がかかるので、実質的に手元に入るのは年間200万円です。
もし一人暮らしで節約して生活するなら、十分に実現可能な水準です。
不景気の影響は?
また、FIREは不景気による影響も考慮する必要があります。
投資にしろビジネスにしろ、不景気になれば株価や不動産価値は下落し、ビジネスでの業績悪化の可能性もあります。
そうなった場合に、FIREを継続できるかどうかも考慮しなければいけません。そのためには分散投資やビジネスの多角化などリスクヘッジを行い、どういう状況でもFIREを継続できるような環境づくりが大切です。
セミリタイアとは?
セミリタイアはFIREとは違い、完全に仕事を辞めず労働時間、労働収入を減らしても生活可能なライフスタイルの事を言います。
つまり労働収入と不労所得などを併せた収入で生活できるようになれば、正社員で働く必要はないという考え方です。
セミリタイアの条件
セミリタイアは労働収入と不労所得などを併せた収入で実現するライフスタイルですが、その線引きは特にありません。
ただ、FIRE同様に自由に使える時間を増やして生活を充実させるのが目的ですから、ある程度の労働時間の線引きの目安は必要です。
正社員で働くのであれば最低でも月160時間以上を労働に費やしますが、それが100時間程度の労働時間になればセミリタイアしている状態と言えるでしょう。
セミリタイアはサイドFIREと共通する
ちなみにFIREがアーリーリタイアと共通しているように、セミリタイアもサイドFIREと共通しています。
サイドFIREとは、FIREの前段階で完全に経済的自立をしているわけではないが、同労収入だけに頼らないライフスタイルです。
セミリタイアするために必要な資金
完全なリタイアを目指すFIREとは違いセミリタイアでは、労働収入も考慮するためFIREに比べると少ない資金で実現することが可能です。
私自身も、現在はこのセミリタイアというライフスタイルをしていますが、労働収入と株式投資による不労所得で生活しています。
セミリタイアに必要な資金は2000万円以上
FIREと同じ条件で年間に200万円の収入を必要とするのであれば、セミリタイアなら2000万円程度の資金があれば実現が可能です。
2000万円の資金を利回り5%で株式投資で運用すれば、毎年100万円の配当金が見込めます。そこから税金を差し引いて80万円が手元に入る配当金です。
それに加えて、毎月100時間、時給1000円の仕事をすれば、月10万円で年間120万円の収入になります。
配当金80万円+労働収入120万円があれば年間200万円の収入になり、FIREの最低条件と同じ収入になります。労働収入にも税金はかかりますが、120万円程度であれば確定申告することで税負担はほどんど必要ないでしょう。
不景気の影響は?
FIRE同様にセミリタイアでも投資などの不労所得を得ているために、不景気の影響はあります。
当然ならがリスクヘッジをする必要はありますが、労働収入もあるならFIREほど厳しく資金管理する必要はないかもしれません。その時々に応じて、労働収入と不労所得のリバランスができるのもセミリタイアの強みと言えるでしょう。
セミリタイアの先にFIREがあるが・・
この記事でもわかるように、労働時間から考えるとセミリタイア(サイドFIRE)の先にFIRE(アーリーリタイア)があります。
もし、段階的にFIREを目指したいなら、先にセミリタイアというライフスタイルを経験するのも良いでしょう。
とは言え、FIREを目指している、実現したからと言って、必ずしも仕事をしてはいけないわけではありません。
FIREをしてから本当に自分がやりたい仕事をする人もいれば、セミリタイアという状態で「収入のための仕事」から「やりたい仕事」へ移行する人もいると思います。
自分の環境や願望に応じて、様々な生き方に変化できるのもFIREやセミリタイアというライフスタイルの大きなメリットになるでしょう。
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